夢色メイプルシュガー
──ガラッ。
戸惑う様子もなく、宗谷くんがドアを開けた。
そんな彼とは対象的に、足が進まなくなる私。
……来て、しまった。
手にじんわりと汗が滲んでくる。
そこに見えない結界か何かが張られてるんじゃないかってくらい、身体が拒否反応を起こして。
「芽衣」
「……っ、ごめん」
促された私は、なんとか足を動かし、教室の中へ入った。
ひとまずカバンを机に置く。
スゥーーーッ。
大きく息を吸って、深呼吸。
少しだけ、落ち着きを取り戻すことができた。
……よし。
カバンに手をかける。
緊張で手が震えるけれど。
私は覚悟を決めて、例の物を取り出した。
机を挟んだ状態で向かい合う、私と宗谷くん。
すぐに開けるよう指を差し込み、それを机の上に置き。
「んじゃ、せーので開くぞ」
「ええ」
お互い、頷き合う。
私が上か、宗谷くんが上か……。
答えがもうすぐ、はっきりとするんだ。
「いくぞ」
「「せーのっ」」