夢色メイプルシュガー
「私……お母さんにぶつけてみる。ちゃんと自分の、素直な気持ちを」
しっかりと前をむき、堂々と口にした。
瞳に映る宗谷くんは、驚いたように目を見開いて。
やがて、大きく瞬きをした。
こわいけど。
でも……。
「だからお願い……」
舗装された道を辿って、見えない恐怖に怯えて。
私は今まで、無難に平穏に過ごしてきた。
……でもそれじゃ、いつまでたっても薄暗い小さな世界の中の中で一人ぼっち。
絶対つまらないよね?
だって、一度きりの人生なんだもの。
──挑戦するんだ。
これは未知なる未来へと踏み出す、大きな一歩。
「私を、見守っててくれる……?」
宗谷くんが側にいてくれたら私、頑張れる気がするんだ。
「……ったり前じゃん」
「っ!」
近づいてきた宗谷くんが、ポンと私の頭を撫でた。
びっくりしてしまった私の目の前には、いつもの無邪気な笑顔があって。
なんだろう……。
すっごくドキドキしてるのに。
なんていうか、妙に心地いいの。
「芽衣がそう決めたんなら、俺は全力で応援する」
「……ありがとう」
心が、じわっと温まっていく。
するとその時、宗谷くんが不服そうに呟いた。