夢色メイプルシュガー


日曜日。

宗谷くんの家に向かった私は、朝からキッチンを借りて、ケーキ作りをしていた。

もちろん、あのケーキを。

お母さんのための、フルーツタルトを。


何度も何度も、失敗しては試しを繰り返していた、そのケーキづくり。

でも、私は決して諦めなかった。

絶対、何としても完成してみせるんだって、心に決めていたから。


そして今、ついに──。



「どうしよう、完成しちゃった」

「お、おう」


苺にブルーベリー、キウイにバナナ。

いろんな色で彩られたそのケーキを目の前に、興奮が止まらない。


「こ、これからっ、お母さん、にっ」


“食べてもらう”

考えた途端、身体が一気に硬直した。


ああ〜っ!

ドキドキしてきたぁーっ!!


緊張で震える手。

そこへ、温かい手が優しく重ねられた。

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