夢色メイプルシュガー


「芽衣。お前なら、絶対大丈夫だ」

「うん……」


真っ直ぐな瞳に見つめられたら、もう平気。

緊張も、不安も、まるで嘘のように吹き飛んでゆく。


「私、行ってくるね」


小さく呟いて、私はぎゅっと、大きなその手を握り返した。







昼下がり。

宗谷くんの家から帰った私は、自分の家の前に立っていた。

手には、白い箱。

言わずもがな、中身はさっき完成したばかりのフルーツタルトだ。


日曜日は、基本お仕事がお休みのお母さん。

つまり今、お母さんは家の中にいるということ。

私がこの日を選んだのも、その為だった。


……宗谷くん。私、頑張るね。


私はふう、と呼吸をし、震える手をなんとか抑えながらドアを開けた。

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