夢色メイプルシュガー
「お母さん!」
叫びながらリビングに入る。
お母さんは、そんな私に驚いたみたい。
「どうしたの?」
と、大きな目をさらに大きくした。
スゥッと一度たっぷり息を吸い込む。
「これ、開けてください」
全身がドキドキに支配される。
……お母さん、どんなふうに思うんだろう。
「……っ」
その手が箱を開けた瞬間、自然と身体に力が入った。
「ケーキ……?」
ポツリと聞こえてきた声に、つまりながらも答える。
「フルーツタルト、なんだけど……。お母さんに食べてほしくて、今日、つくったの」
「芽衣が?」
あの時と、全く同じ。
信じられないといったように、お母さんは私を見る。
こくり。
首を縦に振ると、それはすぐに返された。