夢色メイプルシュガー


「ケーキづくり、やめるって言わなかった?」

「……っ!」


耳に響いた言葉に、心臓を揺さぶられた。

怖い。

怖くて怖くてたまらない。

だけど。


「私ね……。お母さんに、言わなきゃならないことが……ずっとずっと、言いたかったことがあるの」


しっかりと気を保って、目を見ながら吐く。


『お前なら、絶対大丈夫だ』


……うん。

覚悟を決めて、口を開いた。



「私、パティシエになりたい!」


それは。栓が抜けたように一気に飛び出した。


「本気でなりたいの。だから、ケーキづくりはやめられない。ごめんなさい!」


微塵も止まらなかった。

溢れる想いを吐き出すように叫ぶともに、私は深く頭を下げた。


「……えっと、その」


それにしてもいきなりすぎただろうか。

やっぱり、もうちょっと順序を踏んでからの方が……。


不安な心でそろりと顔を上げると、そこで目にしたのは──。

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