夢色メイプルシュガー






「どうぞ」

「おじゃまします」



“少しお話がしたい”

そう言って、宗谷くんを自分の部屋に招き入れた私。

宗谷くんは『いいのか?』なんて少し戸惑っていたけど、私はすぐに『うん』と答えた。

男の子を部屋に入れるなんて、改めて考えたら躊躇してしまうようなことなのに。

その時の私は、とにかく他のことで頭がいっぱいで、そんなことには気が回らなかったんだ。


私は、宗谷くんと並んでソファーに腰掛ける。


「あ、あのね」

「ん?」


このことも、あなたに伝えなきゃならないの。

ドキドキと脈打つ鼓動で見上げると、宗谷くんは不思議そうに首を捻った。


……いける。いくのよ、私。


意気込んでから、何とか震える口を動かす。


「私は──」

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