夢色メイプルシュガー


「……っ!」


その瞬間、抗う余地もなく、重ねられた唇。


ゆっくりと頭の後ろに回された手が、そっと私の髪を撫でる。


……なにこれ。


全身から力が抜けていく。


強引なのに、優しい。

その絶妙な感覚に魅せらせて。


「……んっ」


私は、酔いしれるように目を閉じた。


宗谷くん……。


触れた部分から伝わる、柔らかい温もり。

それから、鼻腔をくすぐる甘い香り。

身体全体で感じる彼に、トクンッと心が踊る。



「芽衣、好きだよ……」

「うん、私も」



どれくらい経っただろう。

徐に離れた身体。


もう、何がなんだかわからない。

交差する、と言うよりは、絡まる視線と視線。

視界いっぱいに広がる熱っぽいその瞳に、思考能力が奪われる。


──いや。

脳が、やられた。

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