夢色メイプルシュガー


ちょっ、何訊いてくれちゃってるのよ希美ーーーー!?


サラリと落された最悪極まりない質問に、心臓がバクバクと激しく音を立てる。


宗谷くん、大丈夫かしら?


“変なこと言わないでね”


と、私は精一杯眼力で訴える。


すると彼は、“任せとけ”というような顔をした。

だから私も、“任せるよ”と頷いた。


のに。



「内緒」


残念でした。

宗谷くんがニッコリ答えた瞬間、いつの間にか出来ていたギャラリーが、一斉にキャーーっと声を上げた。


嗚呼違うぅ……!

思わず崩れ落ちそうになる。


彼の発言は、私が求めていたものとは、完全に異なるものだった。


“あのこと”を黙ってくれたのは、ありがたいけど。

意味深に捉えられかねない……いや、すでに捉えられているだろうその言葉に、血の気がサーッと引いていく。


恐ろしくも、私は周囲をぐるりと見渡してみた。


< 32 / 228 >

この作品をシェア

pagetop