夢色メイプルシュガー
「これからは、あんなことしないでね?」
とにかく、変な登場の仕方をするのはやめてほしい。
心臓が持たないし。
今回は大丈夫だったみたいだけど、
誰かに見られて変な噂がたてられたら、宗谷くんだって困るでしょう?
そう思って、言ったのに。
「なんで?」
それはこっちのセリフです。
目を丸くした宗谷くんに、思わずツッコミを入れる。
するとその直後、彼は切り替えるように口を開いた。
「じゃ、そろそろ行くか」
「へ?」
行くって、なに?
パチパチ瞬きすると。
「迎えに来たんだ」
「え?」
返ってきた言葉に、ますます頭は混乱。
迎え?
私、宗谷くんとどこかに行く約束なんて……。
「朝訊いただろ、『放課後暇か』って」
ああ。そう言えば、そんなこと言ってたよね。
でも。
「私、返事してな──きゃっ!」