夢色メイプルシュガー


……びっくりしたぁ。


鼓膜を劈く勢いに、私を含めたクラスメイト全員が一斉に耳を塞ぐ。


「……ん?」


すると、彼はうつ伏せな身体はそのままに、首だけをほんの少し上に向け、なんとも間の抜けた声を洩らした。

ようやく、目を覚ましたらしい。


──ドン。


とその時、先生が名簿で机を叩き詰め寄った。


「おはよう、宗谷くん」


張り詰めた空気。

ひやりと冷たい目が、一点にそこを見つめている。


「あ……おはよ、先生」

「お前なぁ……。っていうか、プリント真っ白じゃないか!」

「ああ、そうっすね」

「『そうっすね』じゃないだろう、ちゃんと真面目にせんか!」

「……でも俺、得に書くことな──」

「今日中に完成させて、俺のところまで提出しにこい。絶対にな!」



教室がドッと笑い声に包まれる。



宗谷渚……変な人。

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