夢色メイプルシュガー
「……はい」
大好きに決まってる。
1日だって考えなかったことがないくらい、私はケーキが大好きだもの。
「なら、週に1回だけ。ウチのケーキの試作を手伝ってもらうってことで、どうだい?」
「え……」
目の前の口から飛び出した、予想外の言葉。
私は目を大きく見張った。
「俺は賛成! 別に趣味でもなんでもいーじゃん。芽衣、やろーぜ」
宗谷くんが私の肩を揺さぶる。
──私が、〈plage〉のケーキを……?
これまで順当に歩んできた一本道。
その真ん中に突如現れた、1枚のドア。
パァァ……。
まばゆい光を放つ、それ。
だめっ。
そんなこと、絶対だめなのに。
「なあ、芽衣?」
見たこともない輝きに魅せられた私は──。