夢色メイプルシュガー
家に帰ってから、私はまだ尚残る余韻に浸りながら、買ってもらったばかりのケーキを食べた。
その時食べたケーキが、そう。
今も大好きな、メイプルタルトだった。
あまりにおいしくって。
すっごく驚いて。
いつの間にか、そのつくり方にまで興味を抱いていた。
……だから、驚いたなぁ。
まさか〈plage〉が、宗谷くんの──同じクラスの男の子のお家だったなんて。
それに。
『なら、週に1回だけ。ウチのケーキの試作を手伝ってもらうってことで、どうだい?』
まさか憧れのパティシエから、そんなことを言ってもらえるなんて。
嬉しかった。
本当に、嬉しかったな……。
だけど──。
やっぱり、宗谷くんにごめんなさいって謝らなくちゃ。
私は昇降口の隅に立ち、その姿が現れるのをじっと待っていた。
ちゃんと、直接伝えるために。