夢色メイプルシュガー
......来た!
「宗谷くん」
眠たそうに入ってくる彼を捉えた私は、近づきながら声をかけた。
宗谷くんは、驚いたように目を開けてこっちを見た。
「芽衣?」
「お、おはよう……」
「おはよ。なんだ? もしかして俺のこと、迎えに来てくれたの?」
「えっ!?」
ドキリ、いたずらっぽく笑う瞳に心臓が大きく跳ねる。
「やっ、ち、違う! あっ、でも半分あってるというか……」
「くっ、なんだよそれ」
あぁ、もう私ったら......!
テンパる私を前に、宗谷くんはクスクスと笑う。
そんな時、ドアの向こうに希美らしき人物が見えた。
……まずい。
「ちょっとこっちに来て!」
私はとっさの判断で彼の腕を掴み引っ張った。
「うおっ、どうしたんだよ」
「いいから、黙ってついてきて!」
職員室のある棟へと早足で向かう。
そこなら、あまり人も通らないはずだから。