夢色メイプルシュガー
「だってほら、たくさんの人を救うんでしょー? 黒髪ロングを靡かせる、敏腕美人弁護士。かっこよくてステキじゃない」
「ちょっと、なにそれ。私は、“幼稚園の先生”のほうがもっとステキだと思うけど?」
おかえし、と言わんばかりに口角を上げる。
すると希美は、虚をつかれたような顔をした。
「そ、それより! 前から思ってたんだけどさ」
「ん?」
切り替えるように放たれた言葉に、私は自然と耳を傾ける。
「宗谷くんって、なーんかちょっと残念だよね」
「ザンネン?」
……えっと、なんの話?
きょとんと目を開けていると、希美が心做しか小声で続けた。
「さっきの時間もそうだけど、いつも彼ってば寝てばっかでしょ?」
「うん……?」
「でも背はそこそこあるし、よく見たら顔もかっこいいから、勉強も真面目にやれば絶対モテモテさんなのになーって……。メイメイもそう思わない?」
ああ、なるほど。
だから“残念”なわけなのね。
でも。
「そんなこといきなり言われても......」
私にはよくわからない。
だって、今まで気にしたことがなかったし。
宗谷くんっていえば、
“授業中によく寝てる人”。
私には、そんなイメージしかないから──。
「わっ!?」