夢色メイプルシュガー


「渚くんってば、急に彼女とデートの予定でも入ったんですか〜?」


ああ、なるほど。

デートって、だからそんなにニヤニヤと。


でもごめんね橘くん、それはハズレです。



「あー……。まあ、そんなとこ?」


へっ……!?


びっくりして、変な声が出そうになった。

そんなとこって宗谷くん、あなた何を──。


「うそつけ、彼女いないくせによくゆーわ」

「わかってんなら言うなっての」

「いやね、親友の俺としては心配なのだよ。そろそろ君にも──」

「うっせー。お前もいねーだろ」



言い合いながらも、どこか楽しそうなそのやり取り。

私はホウキを握り締めたまま、橘くんが帰るまでの間、ボーッとその様子を眺めていた。









「ねぇ、宗谷くん」



どこへ向かってるんだろう。

わかってるのに、わからない。


そんな不思議な帰り道。


宗谷くんと二人並んで歩きながら、私はそっと、小さく胸に芽生えた思いを声に乗せた。



「訊きたいことがあるんだけど」

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