夢色メイプルシュガー
「へ?」
キョトンとしてしまう。
誰にだって、そうじゃない?
「それって、どういう……」
「さあな」
「えっ、 宗谷くん!?」
「早く行くぜー」
「なんでよー……!?」
結局その意味はわからないまま、私たちは〈plage〉にたどり着いた。
「いらっしゃい」
「こんにちは……!」
厨房に入ってすぐ、私は優しく微笑みかけくれた宗谷さんに慌てて頭を下げる。
約1週間ぶりに見る景色。
キラキラの、世界。
目に映る全てのモノたちが、輝いて見える。
それだけじゃなく。
オーブンで焼いた生地の匂いだろうか、室内に漂うふんわりとした甘い香りが嗅覚まで刺激してきて。
……ああ。
私、興奮してる……。
いつの間にか呼吸が荒くなっていた自分に気がついた。
あれだけ躊躇ってたのに。
断るつもりだったのに。
その時の感情が嘘みたいに、今はときめく心を抑えられない。
まだ信じられないけれど。
どうしよう……。
ついにこれから、始まっちゃうんだよね。
家からこっそりと持ち出したエプロンを身につければ、もう準備は万端だ。
「さっそく始めようか」
「はいっ」
私は、宗谷さんの言葉に声を弾ませた。