夢色メイプルシュガー


急に視界を奪われ、思わず頓狂な声を出してしまった。


「な、なに」


じぃーっ。

上目遣いの瞳が、そうでしょメイメイ? とキラキラ訴えかけてくるのだ。


……どうやら希美、どうしても私に“YES”と言わせたいらしい。


もう、仕方ないなー。


それじゃあ一応、と窓際の席にちらり視線を向けてみる。

その先にいるのは──。


目にかかった焦げ茶の無造作ヘア。

キリリとした二重のつり目。

程よく筋肉がついてみえる、細身の身体。


──紛れもない、宗谷くんこと宗谷渚だ。


彼は友達の橘(たちばな)くんと二人、お弁当を食べていて。

なんだか楽しそうに笑って会話をしている。



……まあたしかに、こうやって見てみると、ちょっとかっ──。

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