夢色メイプルシュガー
◇
『お母さん、喜んでくれるかな……』
紅色のエプロンと身にまとい、家のキッチンに立つ。
ドキドキ、ドキドキ、と小刻みに胸が鳴るのがわかる。
『えーと、まずは』
私は、この前買ってきたレシピ本を開いた。
あらかじめ付箋をつけておいた、フルーツタルトのページだ。
だってお母さん、果物が大好きだから。
バターを秤で50グラム計り、ボウルに入れる。
『こんなかんじ?』
なんとか、写真と同じになるまで混ぜられた気がする。
よし、次は……。
レシピの手順を頼りに少しずつ、慎重に作業を進めていった。