夢色メイプルシュガー


『なになに?』

『ちょっと待ってて!』


タタタッとキッチンへ駆けて、ケーキを手に取る。


『誕生日ケーキです!』


目の前に差し出すと、お母さんは驚いた表情を浮かべた。


『……これ、もしかして芽衣が?』

『へへっ』

『一人で作ったの?』

『うん。お母さんを、驚かせたくて』


見つめていると、おもむろに口角が上がるのが目に映った。


『……ありがとう。とっても嬉しいわ。お父さんが帰ってきたら、一緒に食べよっか』


よかった……。

喜んでくれたみたい。


向けられたお母さんの笑顔に、私も自然と笑顔になった。



『いただきます』


夕飯のあと、お母さんが私の顔を覗くようにして見ながら、そう言った。

なんだかちょっと照れちゃうな。



──スッ。


その時、お母さんの持つフォークがケーキの先端に入った。

私はゴクン、と無意識に息を呑む。

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