夢色メイプルシュガー
『……おいしい』
『本当!?』
『ええ、とっても』
やっ……やったあ。
『俺もいただくよ、芽衣』
『うん……!』
嬉しくなって、一口食べてみる。
ところが。
『……ん!?』
びっくりした。
何これ。
パサついてて、全然おいしくない。
だ、ダメだ、どうしよう。
『ごめんなさい! 私、失敗しちゃったみたいで……。二人とも、もう食べなくていいから』
慌ててお皿を回収しようとする。
だけどそれは、すぐに阻まれてしまった。
『おいしいって……私、言ったでしょ?』
『……っ』
お母さんは、見たことのない顔をしていた。
『そうだな、とってもおいしいよ』
お父さんの優しい声が、それに続く。
『ありがとう、芽衣。こんなにおいしいケーキ、初めてよ』
『どうして......』
『芽衣が私のために作ってくれたんだもの。最高のプレゼントだわ』
おかあさん……。
やめて……よぉ……。
その目には、いっぱい涙が浮かんでいて。
気づけば私の目にも、同じものが溢れてきた。