夢色メイプルシュガー
◇
──ピピピピ、ピピピピ。
「……ん?」
あれ、もう朝……?
6時ぴったりにセットしてある、目覚まし時計。
うるさく鳴り響くそれを、手探りで止める。
──シャッ。
いつものようにカーテンを開ければ、太陽の光が部屋一面に降り注いできた。
眩しい……。
私は瞼を閉じて、その輝きをいっぱいに浴びた。
*
「行ってきまーす」
てきぱきと身支度をすませた私は、快活な声を出して、家を出る。
靡く髪。
揺れる木々。
頬を掠める風が、なんとも気持ちいい。
楽しかったなあ。
ゆっくりと歩きながら噛み締める、水曜日のあの記憶。
なんでだろう。
あれから二日も経ったというのに、まだこんなにも余韻が残ってる。
ほんとは、どうしようかと思ってたけど……。
断わらなくてよかったかも。
「あ……」
カバンから水筒を取ろうとした矢先、あるものが目に入った。