夢色メイプルシュガー






──ピピピピ、ピピピピ。



「……ん?」


あれ、もう朝……?

6時ぴったりにセットしてある、目覚まし時計。

うるさく鳴り響くそれを、手探りで止める。


──シャッ。


いつものようにカーテンを開ければ、太陽の光が部屋一面に降り注いできた。

眩しい……。

私は瞼を閉じて、その輝きをいっぱいに浴びた。







「行ってきまーす」


てきぱきと身支度をすませた私は、快活な声を出して、家を出る。


靡く髪。

揺れる木々。

頬を掠める風が、なんとも気持ちいい。


楽しかったなあ。

ゆっくりと歩きながら噛み締める、水曜日のあの記憶。

なんでだろう。

あれから二日も経ったというのに、まだこんなにも余韻が残ってる。


ほんとは、どうしようかと思ってたけど……。

断わらなくてよかったかも。


「あ……」


カバンから水筒を取ろうとした矢先、あるものが目に入った。

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