夢色メイプルシュガー


「明日なんだよね……」


頬を緩めて見つめる先は、

“スイーツコレクション”と書かれたチケット。


あの日、帰り際に宗谷さんが私に渡してくれたんだ。

『土曜日、渚と二人で行ってきたらどうだ』と。


……うう、ドキドキしてきた。


世界屈指のパティシエが集まるというそのイベントには、ケーキにチョコレートにクッキーと、選ばれ抜かれたスイーツ作品が同じ会場で一度に楽しめる、スイーツ好きには夢の祭典なのだ。


テレビで見て知ってはいたけど、まさか自分が行けることになるなんて……。


憧れのパティシエに会えて、

憧れのパティシエにケーキを教わって、

憧れのスイーツイベントに行けることになって。


まるで、奇跡みたい。


だからかな?

私が今朝、あんな懐かしい日の夢を見ちゃったのは。


あれは、まだ私が小学校2年生だった時のことだ。

初めてお母さんにケーキを作った、少し照れくさい記憶。

まさか夢に見るなんて。

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