夢色メイプルシュガー
「涼岡」
席についてすぐ、背後から呼びかけられて振り返った。
「黒木くん、どうしたの?」
「今日の放課後、臨時の委員会があんだって」
「そうなんだ。ありがとう」
忘れないようにしなきゃ。
放課後は委員会、と心の中に素早くメモする。
……ん?
黒木くんが、何か言いたげな瞳でこっちを見ていたから。
「なぁに?」
私は首を傾げながら、少し覗き込んだ。
「えっ、えっと……なんでも」
「またそれ? もしかして私、何か変なことでも言った?」
「や、そうじゃなくて。今日の涼岡、なんとなくいつもと違うっていうか……」
「え?」
いつもと違う?
なんのこと、と私は瞬きを数回繰り返す。
登校時間は普段通り、だし。
服装もカバンも胸下まで届く黒髪も、何一つ変えてない。
きょろきょろと自分を見回していると、黒木くんがそっと投げかけた。
「嬉しいことでもあったのかなって」