夢色メイプルシュガー
「……っ」
うそ、私顔に出てる?
意識した途端に恥ずかしくなって、「ううん、何もないよ!」と逃げるように席へ向かった。
「ふぅ」
椅子に座り、ホッと一息つく。
ふと視線を上げた時。
「メーイメイ」
突然、希美の顔が視界を奪った。
「希美……!?」
「ねぇ〜。そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
驚いた私の反応なんて完全無視で、前の席に後向きで座った希美は、頬杖をつきながらそう言った。
「そろそろって?」
なんのことだろう。
首を傾げた私に、「だーかーらー」と、希美が続ける。
「居眠り王子とのカ・ン・ケ・イっ!」
「は?」
間の抜けた声が出た。
なに?
「なんの話し?」
「んもーぅ! とぼけちゃってぇ。いつまでも希美ちゃんを騙し通せると思ったら、大間違いなんだからね!」
いや、えっと。
居眠り王子って──。
「 .....誰?」
「......へ?」
「......へ?」
首を捻って固まった希美につられ、私も同じように返してしまった。
「メイメイったらおもしろーい!」
んなっ!?
沈黙のあと、希美は堰を切ったように笑いだした。
「授業中いっつも眠ってるイケメンっていえば、一人しかいないじゃない」
「いっつも眠ってる、イケメン......」