夢色メイプルシュガー
「って希美、話そらさないの!」
「へへ、バレた?」
危ない、また流されちゃうところだった。
バツが悪そうに頬をかいた希美に、私は「当然です」と口を尖らせる。
ほんと希美ったら、すり替え上手なんだから!
*
放課後、終礼が済んだ学校はやっぱり騒がしい。
「部活だりーなー」
のそのそ廊下に歩いていく野球部男子。
「ねぇ、クレープ食べに行こ!」
きゃあきゃあはしゃぐ女の子たち。
他にも、教室に残って勉強する人やまっすぐ家に帰る人……と、いろんな声が混じり響く。
そんな中、クラスの副委員長を務めている私は、委員長の黒木晴人(くろきはると)くんと一緒に職員室に向かっていた。
腕には書類の束を抱えて。
放課後運ぶようにと、担任からお願いされていたのだ。