夢色メイプルシュガー


「って希美、話そらさないの!」

「へへ、バレた?」


危ない、また流されちゃうところだった。

バツが悪そうに頬をかいた希美に、私は「当然です」と口を尖らせる。


ほんと希美ったら、すり替え上手なんだから!







放課後、終礼が済んだ学校はやっぱり騒がしい。



「部活だりーなー」


のそのそ廊下に歩いていく野球部男子。


「ねぇ、クレープ食べに行こ!」


きゃあきゃあはしゃぐ女の子たち。


他にも、教室に残って勉強する人やまっすぐ家に帰る人……と、いろんな声が混じり響く。


そんな中、クラスの副委員長を務めている私は、委員長の黒木晴人(くろきはると)くんと一緒に職員室に向かっていた。

腕には書類の束を抱えて。

放課後運ぶようにと、担任からお願いされていたのだ。

< 9 / 228 >

この作品をシェア

pagetop