夢色メイプルシュガー
──まさか。
「宗谷くん!?」
「せーかいっ!」
なるほどね。
なんとも希美らしいあだ名だわ……って、今はそんなことどうでもよくて。
「べ、別に、普通のクラスメイトってかんじかな?」
この前一緒にケーキを作ったんだーなんて、口が裂けても言えるわけがない。
「ほんとにー?」
「ほんとよ」
ドキ、ドキ、ドキ。
心拍数が上昇しながらも、私は冷静に笑顔を向ける。
「あやしー」
「あやしくないって」
じーっと睨んでくる希美から、私は視線を逸らす。
お願いだから希美、この話だけはもうやめて……!
そう、強く願った時だった。
「芽衣」
嘘だぁ!?
なんというタイミングの悪さ。
目の前に現れた居眠り王子にドキリとする。
「あの、どうしたの、宗谷くん?」
「芽衣と話したくなったから、来ただけ」
なんじゃそりゃ!?
ってか、まずい。
希美は──。