夢色メイプルシュガー
「へー! 宗谷くんの家って、ケーキ屋さんだったんだ〜」
希美が、目を輝かせて宗谷くんを見た。
宗谷くんが私の大好きなケーキ屋さんの息子だったということ。
憧れのパティシエが、宗谷くんのお父さんだったということ。
そして、その憧れの人にケーキ作りを教わっているということ。
一通り、それらのことを説明した。
本当は誰にも言いたくなかったけど、あんな目を見たら、ね?
希美も納得してくれたはずだし、これで良かったわ。
そう、思ったのも束の間。
「で?」
「ん?」
「なんでメイメイ、ケーキ作り教わってるの?」
──ドキィ!
鋭い指摘が槍の如く飛んできた。
きっと自らが核心を突いたという自覚は、一切ないのだろう。
希美はただ不思議そーに、頭を傾けている。
「ええと、それは……」
どうしよう。
頭が真っ白になって何も言葉が出てこない。
「その……」