どっきゅん♡LOVER
「5時間目には間に合いそうですね」
ケータイで確認しようとした矢先、日野っちが声をかけてきた。
「ほんと?」
すぐさま明るい声で答える。
あたしは今、日野っちの車の中にいる。
さっき雑誌のお仕事が終わったばかりで、スタジオから兎月学園へと急いで向かっているのだ。
もちろん、すでに変装済み。
途中からの登校はこれが初めてだから、ちょっと、不思議な気分。
「ありがとねー。じゃあ」
校門前に停めてくれた日野っちに、片手でドアを閉めながらバイバイと手を振る。
日野っちが予想した通り、学校へ着いたのはお昼休み中だった。
「いいですか、沙弥さん。くれぐれも気を抜かないように。わかってますね?」
「はいはい、わかってまーす」
わざわざ窓開けてまで念押ししなくてもいいのに〜。
半分聞き流す勢いで、あたしは校舎へ走りだした。