どっきゅん♡LOVER


「実は私の身体を心配したおじいちゃんが、毎日送り迎えをしてくれてて……」


目にうるうると涙を浮かべる。

どう? 今の演技、アカデミー賞とれちゃいそうじゃない??

そんなあたしを見た松木くんが、矢野新に口を尖らせた。


「……ほらなー。俺の言った通りだろ?」


作戦成功!

やっぱり松木くんって天使だわ。

優しい彼に、心はジーンとする。


……それに比べて。


「ふーん、おじいちゃんねぇ」


なんなのよ、矢野新は!

あんた、悪魔の生まれ変わりか何かでしょ!


「じゃあ、私はこれで……」


沸き立つ怒りをなんとか抑え、あたしは目の前の悪魔から逃げるように、そそくさと教室に入った。

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