どっきゅん♡LOVER


なんで!

どうして!

やだやだやだーっ!


邪魔しに駆け出そうとしたところで、はっと足を止めた。


『落ち着くのよ沙弥。ここで出ていったら、それこそ破滅だわ!』


冷静なもうひとりのあたしが、脳裏で静止を呼びかけたのだ。



危うく自滅するとこだった。


“学校ではただの顔見知り”

“話しかけるな”


約束は約束。

守らなきゃ、嫌われちゃうかもだしね。


とはいえ……。


ふぅ、と心の汗を拭ったあたしは、素早く下駄箱に移動し身を潜めた。

やっぱり、どうしても気になっちゃうんだもん。

じぃー……。

ぴたり張り付きながら、観察を開始する。

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