どっきゅん♡LOVER
「吉良くん、絶対学年トップだったでしょ?」
聞き耳を立てていると、すらっとした黒髪ロングの彼女が声を響かせた。
たぶん、修平と同じクラスなんだろう。
「……まあ」
「やっぱり! すごいなー。……ね、今度私に勉強教えてよ」
なっ……。
あたしの修平に触るなー!
修平の腕にベッタリと触れたその子に、ぐぅっと拳を握り締めながら唇を噛み締める。
「悪いけど、3位の神戸(かんべ)には教えられないよ」
「あは、バレた?」
「バレるも何も。自分で叫んでただろ」
「そーだっけ?」
……ん。
何これ?
楽しそうに笑う声。
楽しそうな表情。
待って、すっごく親しい雰囲気に見えるんですけど!?
しかも、1位と3位って……。
じ、次元が違う……あたしなんて……。
ううん、やめとこう。笑えない。
……はぁ。
「いいな……」
溜め息とともに、自然と口から心の声が零れ落ちた。
あたしも修平とおしゃべりしたい。
ああやって隣に立って、触れて、思いきり笑いたい。
あんなの見ちゃったら……。
「ええい、しっかりしろあたし」
湧き上がる哀しみ振り払おうとしたその矢先、耳に艶っぽい声が響いた。
「吉良くんさ、彼女とか……いるの?」
──ドクン。
心臓が跳ねた。