どっきゅん♡LOVER


“絶対秘密”

まなみんの言うように、あたしには、誰にも言えない“秘密”がある。

……けど、それがどう褒めてることになるのか。

全く意味がわからない。



「だから、それだけ完璧なら誰にも気づかれないって、そう言ったのよ。まさかあんたが……」


──ドクン。



「あのサ──」

「わーーーー!」


まなみんの囁くような声が耳に届いたと同時、あたしは声を発していた。


「ちょっと、まなみん!」

「おっと、ごめん。もう少しで口が滑りそうだったわ」


いや、思いっきり滑ってましたけど!


「でも大丈夫よ、冗談だから」

「びっくりさせないでよー」


心臓がいくつあっても足りない。

だって、このことがバレたら大変なことになっちゃうんだもん。



「そうよ、愛実ちゃん。秘密はちゃんと守らなきゃ」

「うんうん!」


だよね、涼子ちん!

あたしは賛同の意を込めて、何度も頭を縦に動かした。


のに。


「口が裂けても、沙弥ちゃんとサーヤが同一人物だなんて……あ」



とっさに口を抑えた涼子ちん。


「「……あ??」」


あたしとまなみんは、顔面蒼白になる。


ちょっと、涼子ちーーーーーん!?



「ごめんなさい、沙弥ちゃんっ」



誰かに聞かれた?

急いで辺りを見回す。


だけど、朝の騒がしい時間で助かったかも。

みんなそれぞれに喋っていて、誰もこっちを向いてる人はいなかった。



『沙弥ちゃんとサーヤが同一人物』


涼子ちんの天然さんで危うく明るみになりそうだったけど、これこそがあたし、南沙弥の最大の“秘密”──。


さっき話題に出てたアイドルの“サーヤ”は……

実は、このあたしなんです!


< 12 / 274 >

この作品をシェア

pagetop