どっきゅん♡LOVER
……はあ、疲れる。
今のあたし、主演女優賞も目じゃないくらい、完璧な演技してると思うわ。うん。
ホッと一息つく。
そんな時、市川歩武が眉を顰めてあたしの奥を見た。
「……あれ? 見ない顔だけど、もしかして新人さん?」
あたしの奥──修平に歩み寄りながら、窺うような口調で投げかける。
「いえ、俺は一般人なので」
「一般人……?」
その瞳は、淡々と答えた修平を不思議そうに見つめている。
そうだ、一応言っとかなきゃよね。
あたしは間に入るような形になり、修平の腕に手を添えた。
「見学に来てくれたんです。修平はあたしの……ゆ、友人で!」
「なんだ、沙弥ちゃんの知り合いだったのか」
「はい〜」
なるほど、という顔であたしを見た彼。
ほどなくして、視線を動かしたかと思えば。
「そういうことなら、ぜひ楽しんでいってよ」
爽やかな笑顔を修平に向けた。