どっきゅん♡LOVER


「沙弥!」

「……っ!」


時が止まった。

耳に響いた瞬間だった。


「修……平?」


紛れもない、彼の声。

その姿が脳裏に浮かぶと同時、氷漬けの心に、一筋の眩しい光が差し込んでくる。

来て、くれたんだ……。


「沙弥、開けてくれないか?」

「で、でも……」


どうしよう。

どんな顔して会えばいいか、わからないよ。

それに、修平の顔見たら、もっと現実がつらくなるかも──。


「ふたりきりで、話がしたいんだ」

「えっ」

「約束する。俺以外誰も入れない。だから、鍵を開けてくれ」



ふたりきり。

修平だけ……。



「……ほんと、に?」

「ああ」


力強く返された言葉。

それは、ドア越しからでも伝わるほど温かいもので。


「……うん、わかった」


あたしは小さく頷いて、そっと囁いた。

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