どっきゅん♡LOVER


ガチャリと鍵を開けてすぐ、徐に扉が開く。


「沙弥」

「……っ」


目が合った瞬間、あたしはその場にしゃがみ込んで、太ももに顔をうずめてしまった。


泣き腫らした顔。

どうなってるかなんて、見てないからわからないけど。

それでも、修平には見られたくなかったから。



──ガチャ。


じっと黙って顔を隠していると、上の方でそんな音が響いた。

修平が鍵をかけてくれたんだろう……。


それっきり、室内はシンと静けさに包まれた。

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