どっきゅん♡LOVER
楽屋の外に出ると、メイクさんがスタンバイしてくれていた。
どうやら、機転を利かせた日野っちが手配してくれてたみたい。
そのおかげで、すぐさまメイク直しをすることができて。
本当、日野っちには感謝するしかなかった。
そして、メイク完了後。
「すみませんでした!」
急いでスタジオに戻ったあたしは、真っ先に頭を下げた。
深く、深く。
たくさん迷惑かけちゃったんだもん。
だというのに、誰もあたしを咎める人はおらず。
「おかえり、サーヤちゃん」
「さ、気を取り直して始めるよ?」
むしろ、温かい空気で迎えてくれた。
……みんなぁ。
込み上げてくる熱い想い。
鼻がツーンとして、喉の奥が痛くなる。
だけど。
「ありがとうございます、お願いします!」
あたしは明るい笑顔で、真っ直ぐに返事した。
だって、せっかく綺麗に直してもらったメイクを、台無しになんてできないもの。
──そして。