どっきゅん♡LOVER
「沙弥さん」
シートベルトを装着した途端、キラリとメガネを光らせる日野っち。
流れる重苦しい雰囲気。
あたしはぎょっとして、上ずった声を出してしまう。
「な、何っ」
「……修平くんと、そういう関係だったんですね」
「え」
……ソウイウカンケイ?
首をひねったと同時、一斉に血の気が引いていく。
そう言えば日野っち、あの時ドアの前にいたんだ!
外から楽屋の声は筒抜け。
つまり、楽屋での修平とあたしの会話は、全部日野っちに丸聞こえだったというわけで……。
まずい。
「えっと、その……」
焦るあたし。
だけど、次に耳に届いたのは。
「まあ、ほどほどにしてくださいね」
そんな、意外な声だった。