どっきゅん♡LOVER






「「僕たち、私たちは、スポーツマンシップに──」」


体育委員の宣誓により、いよいよ球技大会が始まった。



「あ、私らは次か」


朝礼台横に設置されたタイムテーブルの前、隣にいるまなみんが独り言のように言った。


先日のHRで、あたしはまなみんと涼子ちんと同じ、ドッヂボールのBチームだと決まった。

最初の試合開始時刻は、10時から。

表を見てみると、“1年C組Bチーム”という文字は、次の枠にあたる10時10分の欄にあった。

今はまだ9時40分だから、あと30分は自由時間ってことね。


なら......。


「他の試合見に行こっか」


それまで暇だし。

もしかしたら修平、今からかもしれないし。

くふっ。

内心ほくそ笑む。

そんなあたしに、涼子ちんがふふっと笑って返した。


「沙弥ちゃんったら、吉良くんの試合が気になるんでしょう?」


さっすが涼子ちんだ。


「えへ、バレた?」


ちなみにサッカーだってことは、リサーチ済み。

なんだけど、何チームかまではまだ掴んでないのよねー。


それじゃあ早速──。

言いかけた時だった。


「ちぇっ」


つまらなそうな声が背後からして、あたしの気分は一気にブルーになった。

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