どっきゅん♡LOVER
「みなさん見苦しいわ」
え?
どこからか、一際落ち着いた声がポツリと放たれた。
あたしを含めた全員が、瞬時に顔を向ける。
「幸せをつかめるのは、痛みを味わった者だけなんです。これ以上文句を言うのなら、沙弥ちゃんと同じようにボールの直撃を食らってからにしてください」
「……」
まるで聖女のような涼子ちんに、この場にいる誰もが声を失っていた。
その口から繰り出される流暢な言葉に、ただただ呆気に取られるばかり。
「さ、行きましょう沙弥ちゃん、愛実ちゃん」
涼子ちんは何食わぬ顔でそう言うと、女の子たちの間を縫い、あたしを引っ張り出した。