どっきゅん♡LOVER
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「解散」
閉会式が終わり、全校生徒がバラバラと散らばっていく。
熱狂冷めやらぬグラウンドには、勝った嬉しさ、負けた悔しさ、次回への抱負。
それぞれに、思いのこもった声が混じり響く。
あれから、詰め寄ってきた女子たちは、一度もあたしの元へやって来なかった。
ということで、たぶんうまくごまかせたんだと思う。
ほんと、涼子ちんまなみんには感謝だ。
「南、意外とやるじゃん」
教室に戻った途端、あたしに近づいてきた矢野新がニヤリと言った。
「あんたもね」
同じくニヤリと返す。
あたしたちのチームは、優勝とはいかなかったものの、なんと準優勝だった。
自分で言うのもなんだけど、あたしも結構、勝利に貢献できたと思う。
そして、矢野新も。
悔しいけど、認めざるを得ないほどの大活躍をしていた。
「俺、実はお前のこと、運痴だと思ってたんだよ」
いやいや気づいてましたけど。
悪びれる様子もなく言う矢野新に、ムカムカとする。
でも。
まあいっか、見返すこともできたんだし。
そう思って今回は聞き流すことにした。
それより、あたしにはもっと大事なことがあったから。