どっきゅん♡LOVER






「ひっく……ひっく……」


次の日。

学校へ行くと、教室からそんな悲しみに満ちた声が聞こえてきた。


どうしたのかな?

見ると、クラスの女の子が鼻をすすって泣いている。

ひとりじゃない。

複数もの女の子が、揃ってだ。


な、何この異様な状況……。


明らかに不思議なその光景に、あたしはぎょっと目を大きくする。

するとその直後。


「なんでなの、歩武様ぁ〜!」


ひとりの女の子が雑誌を握り締めて悲痛な声を上げた。

瞬間、脳がある文字を呼び起こす。


“市川歩武、熱愛疑惑!?”


浮かんだそれは、昨日社長に見せられた新聞の見出しで。

……なるほど。

あたしは、同時に彼女たちの悲しみの正体を理解したんだ。

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