どっきゅん♡LOVER
*
「ひっく……ひっく……」
次の日。
学校へ行くと、教室からそんな悲しみに満ちた声が聞こえてきた。
どうしたのかな?
見ると、クラスの女の子が鼻をすすって泣いている。
ひとりじゃない。
複数もの女の子が、揃ってだ。
な、何この異様な状況……。
明らかに不思議なその光景に、あたしはぎょっと目を大きくする。
するとその直後。
「なんでなの、歩武様ぁ〜!」
ひとりの女の子が雑誌を握り締めて悲痛な声を上げた。
瞬間、脳がある文字を呼び起こす。
“市川歩武、熱愛疑惑!?”
浮かんだそれは、昨日社長に見せられた新聞の見出しで。
……なるほど。
あたしは、同時に彼女たちの悲しみの正体を理解したんだ。