どっきゅん♡LOVER
「ねぇ、顔見せてよ」
「や、やめてっ!」
サングラスを奪おうとされ、必死に抵抗する。
と、その時──。
「離せ」
……えっ?
耳に届いた瞬間、あたしは何かに包み込まれていた。
視界にはシャツの白がいっぱいに広がってて、他には何も見えない。
さっきの声。
この匂い。
「修平……?」
あたしは、そっと唇を震わせた。
「だ、誰だよあんた!」
「いいの? 早く離さないと警察呼ぶけど」
「……っ」
ひやりと冷たい声を出した修平。
その修平がどんな顔をしていたのかなんて、あたしにはわからない。
ただ、男が怯えているのだけはわかった。
ひぃい、と響いた間抜けな声。
それが直接耳に届いたかと思えば。
男は、「覚えてろよ」と聞き覚えのある台詞を吐いて、バタバタとどこかへ走り去っていった。