どっきゅん♡LOVER


──バタン。


ドアが閉まる。

頭が真っ暗だった。

何も理解できない中、唯一感じた悔しさに、あたしは唇をギリッと噛んだ。


「沙弥さん」

「日野っち……」


外で待っていてくれたらしい。

日野っちは、社長室のドアにもたれかかるあたしに、そっと声を落とした。

そして。


「すみません」

「……!?」


驚いた。

あまりに衝撃的すぎて、あたしは声を震わせる。


「何で、日野っちが謝るの……」

「こうなったのは、全て自分の責任です」


そう言って、勢いよく頭を下げる日野っち。

彼は元の位置に身体を起こすと、じっと真っ直ぐに、あたしの目を見た。


「今まで私は、あなたと修平くんとのことを黙認してきました。仕事に支障がなければ、むしろ仕事が捗るなら、多少は目を瞑るべきなのかと」


日野っちの言葉を、あたしはただ黙って聞く。

何でだろう。

その顔から、目を離すことができない。


「ですが……」


スッと伏せられた瞳。

落ち着かない心で、じっと見守っていると。


「その考えが、間違いでした」

「……っ」


物憂げな眼差しが、あたしを突き刺した。

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