どっきゅん♡LOVER


『アッハハハ』


楽しそうに響く笑い声。

廊下を歩いている最中、聞こえたその声に振り返ると、そこには3人のクラスメイトがいた。

3つのランドセルを抱えた女の子ひとりと、手ぶらの女の子ふたり。

明らかに、いじめだと思った。


……こんなの、許せない。


あたしはいてもたってもいられず、詰め寄る。


『何してるの。自分のカバンくらい、自分で持ちなよ』


するとギロリ、不快そうな顔をした彼女たち。


『はぁ?』

『何なの、南さん』


だけどあたしは、怯まず続けた。


『いじめは、いけないんだよ』

『……ったく、わかったわよ。持てばいいんでしょ』


はぁ、と溜め息をつきながらも、女の子ふたりは自らのカバンを手にする。

……よかった。

何とか収まった事態に、あたしはホッと肩を落とした。


しかし──。



『……あれ、くつがない』


その標的は、あたしへと変わったんだ。

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