どっきゅん♡LOVER
『どうしたの、南さーん?』
放課後。
靴箱の前で固まるあたしに背後から投げられたのは、そんな粘着質な声だった。
振り返るまでもなく、誰だかわかる。
あの、女の子たちだ。
『あれ、くつないじゃん。ねぇ、どうやって帰るのー』
『ほんとだ、裸足ー?』
『調子乗ってるから、バチが当たったのよ』
“ハッハッハ”
甲高い笑い声が、切り裂くように鼓膜を揺らした。
『もしかして……。あなたたちが、隠したの?』
そう、窺うように言ったあたしに、彼女たちは顔を歪めて腕を抱える。
『こわーい!』
『人のせいにするの?』
『……っ』
悔しいけど、証拠がない。
あたしは、俯いたまま何も言えなくなってしまった。
『他人に罪をなすりつけるなんて、最低のすること──』
『どっちが最低だよ』
……っ!?