どっきゅん♡LOVER
遮るように聞こえた低い声。
その声が耳に届いた瞬間、あたしの中で時が止まった。
修平……?
『『き、吉良くん!?』』
声の主──修平の姿を捉えたらしい二人は、視線をあちこちにやる。
『俺見てたんだけど。コレ、お前らがあそこのゴミ箱に隠すとこ』
あ、あたしのくつ……!
修平がその時掲げたピンクのくつ。
それは間違いなく、なくなったあたしのものだった。
『こんなことやって、楽しい?』
『あのっ』
『それともこいつ、お前らに何か悪いことでもした?』
『それは……な、何も』
『だったら、こんなことはやめるんだな』
『『……』』
ずいっと黒い笑みを浮かべる修平に、彼女たちは拳を握りしめ、たちまち黙り込んでしまった。
『大丈夫か?』
駆け寄ってくれた修平。
だけど、視界がぼやけて何も見えない。
あたしは、しゃくり上げながら涙を流す。
『うっ……しゅう、へ……っ。あり、がと……っ』
悲しいはずなのに。
心は、温かくてたまらなかった。
それから一切、あたしがいじめられることはなかったんだ。