どっきゅん♡LOVER


修平は、ヒーローだった。

あたしの白馬の王子様だった。


大切な大切な、かけがえのない存在なんだ。






「沙弥さん!」

「……っ」


うずくまるあたしに、突如日野っちの声が降ってきた。


「送ります」


廊下に響いた、短いそれ。

あたしは目を合わすことなく、首を動かす。


「……うん」


それ以降、家に着くまで、あたしと日野っちはどちらからとも何も話さなかった。

< 219 / 274 >

この作品をシェア

pagetop