どっきゅん♡LOVER
「あ、まなみん」
「『あ、まなみん』じゃないわよ。さっきから呼びかけても全然返事ないし。……何かあったの?」
「そうよ、沙弥ちゃんどうしちゃったの?」
まなみんに続き、涼子ちんが眉をハの字に垂らした。
学校についてから、あたしはずっとこうだった。
ぼんやりとして、いつしか意識が飛んでいる。
それも、薄暗い──今日の空みたいな、世界へと。
「実は──」
“修平とのことで”
言おうとして、やめた。
代わりに、あたしはできる限りの笑顔でこう口にする。
「ううん、やっぱりなんでもない」
本当は、誰かにこの悩みを打ち明けたかった。
打ち明けて、どうにか胸の苦しみを解いてくれないかと願ったりもした。
でも、ふたりに迷惑はかけられない。
あたしの、大切な親友なんだもん。
そう思ったから。
「「うそね(よ)」」
「……っ!?」
ビクッと身体が跳ねた。