どっきゅん♡LOVER
露骨に不機嫌に頬を膨らませる、まなみんと涼子ちん。
「いつもの沙弥ちゃんじゃないことくらい、すぐにわかるわ」
落ち着いた調子で、だけど力強い声色で、涼子ちんがあたしに言い放った。
返す言葉が浮かばない。
なんて返していいのか、わからない。
「……でも。あんたが話したくないなら、それでいい」
「ええ。無理に聞き出そうなんて、少しも思ってない」
……まなみん、涼子ちん。
あたしはふたりの顔を交互に見ながら、唇を噛みしめる。
「ただ、これだけは言わせて?」
少しの間のあと、涼子ちんが加えるように言った。
「……私たちは、いつでも沙弥ちゃんの味方よ」
「沙弥には私と涼子がいるってこと、忘れないで」
涙が出そうだった。
ふたりとも、優しすぎるよ。
「ありがとう……」
込み上げてくるものを必死で堪え、あたしは声を振り絞った。
そして、流れるように時間は過ぎ──。